醉醒笑 

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2018年 05月 30日

五月某日 若き畏友H・F君逝く 

     電話越しのか細き声は震えつつ嗚咽を噛んで夫(つま)の死を告ぐ

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早逝の畏友H・F君、職も同じ飛び職、日頃家族ぐるみの付き合いだった。
肥後熊本生まれの快男児、切れ者で律儀、ユーモアに溢れ、人呼んで斯界のトム・クルーズ、きりりと好い男だった。
野辺送りを終えご家族との別れ際のこと、健気に立ち回る夫人と父親譲りの大きくつぶらな瞳の長男長女二人の遺児の姿が痛ましく涙を誘う。

……「理紗ちゃん、げんきで、またあそびにおいで……」に、ふいと

理紗「おじちゃん、おじちゃんのこえ、どうしてかすれてるの?」

……「あのね、のどがちょっとへんでね、こんなこえなの、」

理紗「……ふーん、おとうさん、こえでなかったの……」……はっ、として

……、……覚えず絶句、脳天に一撃、声を呑んで後の言葉に詰まった。

そう、この子の父は、喉頭癌を患い長く苦しい闘病生活を送り、ついに声帯切除を余儀なくされ、近々一年有余は声を失っていたのだ。
理沙、四歳、父の声を忘れて過ごした寂しい日々の幼心にわだかまる素朴な疑問、老爺のしゃがれ声に亡き父の其れとが重なったのだ。
 
いたいけな幼子の無心の問いかけに、とっさとは言え心無い答えかたをしてしまった。不覚、いや不覚というより、思いそこに至らざる感性の衰えが情けない。

花は愛惜に散ると言う、愛する妻と未だ幼い愛児二人を残して逝く君の心残りは如何ばかりか、想い余りあって言葉もないが、厳しくも深い愛情で育んだ愛息昴志君の通夜、葬儀式場における天晴れぶりを伝えて君を送る言葉に代えよう。

母に寄り添い、時に妹梨紗の手を取りながら涙ひとつ見せず終始毅然とした態度、参列者に応接する大人びた言葉遣い。ご遺体を拝んで彼の前を通る僕を見上げて「ありがとうございます」と、堂々たる挨拶をして来たのだ。
健気や歳僅かに十歳小学五年生、「立派」とは正に彼のことをいう。

君の意思は斯くも見事に長子昴志君に亨け継がれている、愛妻とお子達の胸に君の命は永遠にある。雲居の方(かた)安(やす)んじて、以って冥せ我が畏友 H・Fよ。

   友逝く日聲ひときわにホトトギス 醉鷹   


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by gettenn66 | 2018-05-30 11:12 | Comments(0)


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